なかなか面白い。
40年ほど前にちょっとだけ齧ったことのあるFEM解析が、こんなに簡単に出来るなんて・・・という感じです。
机上の解析が一般的になった現在では、ほんのお遊びのような解析なんでしょうけどね。
今回は、正面衝突時に発生するフレームの応力を解析してみました。
(1) 最初に、適当に作ったダブルバテッド管のモデルで解析してみたのですが、実際のパイプとは違い板厚がいきなり1.0から0.5に変化するので、その部分に応力集中してしまったので、没。
(2) 次に板厚1.0のプレーン管で解析したら、ヘッドチューブとトップチューブ、ダウンチューブの接合部にフィレットを付けていなかったので、そこに応力集中してしまい、没。
(3) 3ケース目として計算したのが、以下に紹介する、板厚1.0のプレーン管でヘッドチューブとトップ、ダウンチューブの接合部にR3のフィレットを付けたモデルです。
<拘束条件>
2分割モデルのため、切断面は切断面方向に変位しない。(X軸固定)
シートチューブの後側のエッジを固定。(X,Y,Z軸固定)←どこを固定したら実際に近いのか良く解らないので、とりあえず質量の重い人間の一番近くにあるシートチューブ後端のエッジを固定してみました。
シートチューブの後側のエッジを固定。(X,Y,Z軸固定)←どこを固定したら実際に近いのか良く解らないので、とりあえず質量の重い人間の一番近くにあるシートチューブ後端のエッジを固定してみました。
<荷重条件>
前ハブに前方(Y軸)から3000Nの負荷
前ハブに前方(Y軸)から3000Nの負荷
<材料>
Fusion360に用意されていた鋼 AISI 4130 259QTを使用
降伏点応力 778 MPa
結果
負荷を0~1500N(全体で3000N)に変化させた時のアニメーションです。
入力3000Nの時には、ダウンチューブやトップチューブの前端上下、それにフォークにも降伏点応力以上の応力が発生しています。
ヘッド周辺のアップです。
まとめ
降伏安全率の変化
Step | 負荷 | 降伏安全率 |
1 | 300 | 4.391 |
2 | 600 | 2.195 |
3 | 900 | 1.464 |
4 | 1200 | 1.098 |
5 | 1500 | 0.8782 |
6 | 1800 | 0.7318 |
7 | 2100 | 0.6273 |
8 | 2400 | 0.5489 |
9 | 2700 | 0.4879 |
10 | 3000 | 0.4391 |
この結果を見ると、1500Nでダウンチューブ先端の下側に降伏点以上の応力が発生し、
さらに、1800N時には、ダウンチューブに加え、フォークの前後にも降伏点以上の応力が発生しています。
入力3000Nの時には、ダウンチューブやトップチューブの前端上下、それにフォークにも降伏点応力以上の応力が発生しています。
実際に正面衝突をした自転車のフレームをみると、フォークが後ろに折れ曲がり、トップチューブとダウンチューブに皺が入って変形するという破壊様相ですので、この解析結果と合っていると思います。
その時の負荷は1800N、つまり、自転車を縦にし、61.2kgの体重の人が3人前輪にぶら下がった状態です。 実際の材料の降伏点応力が778MPaの場合です。
なかなか興味深い結果です。
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