その時に、ちょっと考えたのが、アーチワイヤーの最適な長さは?です。
今回は、力学的に考察して、もう少し効きを良くする方法を検討してみます。
定性的に考えると、
- アーチワイヤーは短かく、チドリ部のアーチワイヤーの角度が大きいほどアーチワイヤーの張力が大きくなる(下記のF1が大きくなる)
- アーチワイヤーとブレーキ本体のアームの角度は、出来るだけ90°に近くする(下図のθ2が0に近く)
尚、今回の検証は、あくまで自分のフレーム諸元での検討ですので、一般論ではありません。ご注意ください。
これが、ブレーキが効いている状態を模した図です。
ブレーキレバーを引いた時にブレーキワイヤーに発生する力をF0とすると、
アーチワイヤーの片方に発生する張力F1は
F1=1/2*F0*1/cosθ1
ブレーキ本体を回転させる力F2(F1の分力)
F2=F1*cosθ2
ブレーキシューをリムに押し付ける力F3
F3=F2*L2/L3
つまり
F3=F0/2*(cosθ2/cosθ1)*(L2/L3)
我家のランドナーの場合、マファッククリテの大アームがほぼ水平の時にブレーキシューがリムに当たりますので、θ1=θ2となり、
F3=F0/2*(L2/L3)=F0/2*(37/28.5)=0.649*F0
このレイアウトでは、アーチワイヤーの長さを変更しても常にθ1=θ2ですので、アーチワイヤーの長さはブレーキ力に影響しません。
<間違いがありましたので修正しました>
<対策1>L3を小さくする(薄いシューを使う)
F3を大きくするためには、色々な方法があると思いますが、マファッククリテをそのまま使うことを前提に考えると、薄いシューを使うという方法が考えられます。L3を小さくすると同時にθ2を小さく出来ます。
摩耗したシューを想定(チドリの位置は同じ)すると
F3=F0/2*(cosθ2/cosθ1)*(L2/L3)=F0/2*(cos16.7°/cos31.7°)*(37/22.414)
≒0.929*F0
0.929/0.649、43.1%ほどブレーキ力が向上します。
結構効果がありますね。
<対策2>θ1を大きくする(アーチワイヤーを短く)
さらに、アーチワイヤーを短くするとθ1が大きくなり、ブレーキ力の向上が見込めますが、同時にθ2が大きくなりますので、総合的にどうなるか検証してみます。
F3=F0/2*(cosθ2/cosθ1)*(L2/L3)=F0/2*(cos21.6°/cos36.6°)*(37/22.414)
=0.956*F0
0.956/0.929=1.029 約3%ほど改善しました。
<結論>
自分のTOEIランドナーの場合、少しブレーキ台座の位置が低く、間隔が狭いようです。もう少し高い位置にあれば、かなりブレーキ力は向上するでしょう。
リム幅が広いのかな?オーダー時にスーチャンの650Bと指定したはずなのですが・・・
今のフレーム、ブレーキを使う前提での対策は、L3の縮小化を狙って
- 薄いシューを使う、または出来るだけ押し込んでセットする。
- シューを出来るだけ低い位置にセットする(下向きに付け、リムの内周ギリギリを狙う)
ですかね。
アーチワイヤーの短縮(アーチ角度の拡大)は、レイアウトによっては少し効果があるようです。変更してみる価値はありそうです。 少しスッキリしました。
P.S.
フレームをオーダーする場合には、ブレーキ台座を高く、間隔を広めにセットしてもらうと、かなりブレーキ力は向上しそうです。
間違いがあれば、ご指摘ください。(笑)
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