2020年6月17日水曜日

6月16日 <自転車>カンチブレーキの最適設定(力学的考察)

カンチブレーキの最適設定(力学的考察)なんて、たいそうなタイトルにしてしまいましたが、カンチブレーキ(特にマファッククリテ)を使っていると、誰もがもう少し効きを良くしたいと考えるのではと思います。

その時に、ちょっと考えたのが、アーチワイヤーの最適な長さは?です。

今回は、力学的に考察して、もう少し効きを良くする方法を検討してみます。



定性的に考えると、
  • アーチワイヤーは短かく、チドリ部のアーチワイヤーの角度が大きいほどアーチワイヤーの張力が大きくなる(下記のF1が大きくなる)
  • アーチワイヤーとブレーキ本体のアームの角度は、出来るだけ90°に近くする(下図のθ2が0に近く)
となりますが、実際にはどうなるか、自分のブレーキレイアウトで検討してみます。

尚、今回の検証は、あくまで自分のフレーム諸元での検討ですので、一般論ではありません。ご注意ください。




これが、ブレーキが効いている状態を模した図です。




ブレーキレバーを引いた時にブレーキワイヤーに発生する力をF0とすると、

アーチワイヤーの片方に発生する張力F1
F1=1/2*F0*1/cosθ1

ブレーキ本体を回転させる力F2(F1の分力)
F2=F1*cosθ2

ブレーキシューをリムに押し付ける力F3
F3=F2*L2/L3

つまり
F3=F0/2*(cosθ2/cosθ1)*(L2/L3)


我家のランドナーの場合、マファッククリテの大アームがほぼ水平の時にブレーキシューがリムに当たりますので、θ12となり、
F3=F0/2*(L2/L3)=F0/2*(37/28.5)=0.649*F0

このレイアウトでは、アーチワイヤーの長さを変更しても常にθ12ですので、アーチワイヤーの長さはブレーキ力に影響しません。


<間違いがありましたので修正しました>

<対策1>L3を小さくする(薄いシューを使う)


F3を大きくするためには、色々な方法があると思いますが、マファッククリテをそのまま使うことを前提に考えると、薄いシューを使うという方法が考えられます。L3を小さくすると同時にθ2を小さく出来ます。


摩耗したシューを想定(チドリの位置は同じ)すると



F3=F0/2*(cosθ2/cosθ1)*(L2/L3)=F0/2*(cos16.7°/cos31.7°)*(37/22.414)
   ≒0.929*F0

0.929/0.649、43.1%ほどブレーキ力が向上します。

結構効果がありますね。



<対策2>θ1を大きくする(アーチワイヤーを短く)


さらに、アーチワイヤーを短くするとθ1が大きくなり、ブレーキ力の向上が見込めますが、同時にθ2が大きくなりますので、総合的にどうなるか検証してみます。

F3=F0/2*(cosθ2/cosθ1)*(L2/L3)=F0/2*(cos21.6°/cos36.6°)*(37/22.414)
   =0.956*F0

0.956/0.929=1.029 約3%ほど改善しました。





<結論>


自分のTOEIランドナーの場合、少しブレーキ台座の位置が低く、間隔が狭いようです。もう少し高い位置にあれば、かなりブレーキ力は向上するでしょう。

リム幅が広いのかな?オーダー時にスーチャンの650Bと指定したはずなのですが・・・


今のフレーム、ブレーキを使う前提での対策は、L3の縮小化を狙って

  • 薄いシューを使う、または出来るだけ押し込んでセットする。
  • シューを出来るだけ低い位置にセットする(下向きに付け、リムの内周ギリギリを狙う)
ですかね。


アーチワイヤーの短縮(アーチ角度の拡大)は、レイアウトによっては少し効果があるようです。変更してみる価値はありそうです。 少しスッキリしました。



P.S.
フレームをオーダーする場合には、ブレーキ台座を高く、間隔を広めにセットしてもらうと、かなりブレーキ力は向上しそうです。



間違いがあれば、ご指摘ください。(笑)

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