2020年7月1日水曜日

7月1日 <3D CAD>フレームのパイプ板厚による違い(修正版)

あっという間に7月ですね。

3D CADで行っているフレームの静荷重解析ですが、前回Upしたものは、拘束条件が間違っていました。

車軸の回転を固定していたため、フォークに余計な力が作用していました。

今回それを取り除いて、少し現実に近づくよう、修正しました。



モデル


これが解析のモデルです。



車軸の部分にハブ相当の部品を追加し、本体とハブの接触セットをスライドにしました。

ピン拘束(半径、軸、接線)という拘束もあるのですが、それでは車輪のように前後には移動しないということがわかり、最終的にこの形になりました。

それから、いままでメッシュ分割でエラーが出ていたのは、パイプの端部(フォーク、シートステイ、チェーンステイ)にオープンの部分があるためらしいということが解り、それを修正したらエラーが出なくなり、分割の時間もぐっと短縮されました。

このエラーには本当に悩まされました。ここまで来るのが長かった・・・



BB部のメッシュの状況は、こんな感じです。

メッシュの粗さは標準にしましたが、BB部はちょっと粗い感じがします。

初めはメッシュを粗く、全体を大きく見て、次ステップで応力の高い所を細かく切って精度を高めるのが良いようですので、とりあえず大きく見てみましょう。

<拘束条件>
2分割モデルのため、切断面は切断面方向に変位しない。(X軸固定)
車軸(ハブ相当パーツ)は、上下方向に変位しない。(Z軸固定)
BBは、前後方向に変位しない。(Y軸固定)

<荷重条件>
BBの下方向(-Z軸方向)に2G(60kgの体重の2倍)を負荷。
段差降りを想定。
前回は4Gにしましたが、人間の足のサスペンションを考慮。



モデルと拘束条件が決まりましたので、前三角の板厚違いを比較してみます。


降伏安全率

t=1.0 プレーン管



最小安全率は、フォークの先端下部です。



降伏率を一般鋼のものを使用し、形状を簡略化(エンド無)しているとはいえ、一般的には3以上が推奨されていますので、これは問題のある値です。


<追記>

クロムモリブデン鋼の材料特性を調べました。


SCM430でも降伏点は685N/mm2(MPa)でした。

この場合、安全率は3を超えます。


t=0.5 ダブルバテット管


ダブルバテット管の場合、安全率は少し悪化します。





最弱部は、フォーク先端の下部で変わりません。




変位

t=1.0(プレーン管)



BB部

最大変位はフォーク先端ですが、BBの変位がフレーム剛性を表す指標になるかも。



t=0.5(ダブルバテッド管)








結果まとめ


数値をまとめてみます。


単位 T=1.0 T=0.5 悪化率
min安全率
1.093
3.618
1.057
3.498
3.3%
max応力 MPa 189.3 195.8 3.4%
max変位 mm 1.829 2.038 11.4%
BB変位 mm 0.4312 0.4701 9.0%


板厚1.0のプレーン管と、中央部が0.5のダブルバテッド管(017相当?)を比較してみると、応力は+3%強、変位は9-11%悪化するという結果でした。

前回の間違った拘束条件より差が縮まりました。

プレーン管とダブルバテッド管の剛性差は10%強と読めるのですが、体感との比較はどうなのでしょう?

全体としては、フォークの先端の応力の高さが気になりますね。
クロモリの諸元では、安全率は3を超えますが、それにしても2Gで3.5という数値はちょっと高いと思います。

本物の材質諸元、本物により近い形状板厚で計算する必要があるかもしれません。

所詮、お遊びですので、精度を上げてもどうということはないのですが・・・








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